No 1 info

This work is a huge mural of 6×22m in the art museum stairs hall of Kawaguchiko at the foot of Mt. Fuji. It was created on a concept of "Japan in now" by artist Nobumasa Takahashi and he included the request of the person who visited the museum, and legends of Kawaguchiko. It took about one year and six month and was completed in September, 2007. 108 days as the production days, spent 52 POSCA, the figure which filled up the wall only in the black line is a sight to see.

ArtGaia Kawaguchiko Museum was closed in December, 2007. It newly opened "Kawaguchiko Kitahara Museum" as April in 2008. The mural painting remains perfectly by courtesy of Mr. Teruhisa Kitahara.

富士山を眺める美術館(現:河口湖 北原ミュージアム 「Happy Days」 幸せな時代の物たち。)の階段ホールにある、高さ6m×幅22mの巨大壁画作品です。 アーティストの高橋信雅により「今の日本」をコンセプトに、河口湖の言い伝えや訪れた人のリクエストなど話した内容を取り込み約1年半の制作期間を経て2007年9月に完成しました。 制作日数は累計108日、使ったポスカは52本、黒い線のみで壁を埋め尽くしたその姿は圧巻です。

アートガイア河口湖ミュージアムは2007年12月に閉館しました。 2008月4月河口湖北原ミュージアムとして新たに開館しました。 北原照久氏のご好意により壁画はそのままの形で残っています。

My 1-year-old daughter

My wife and I who peep out from the tree.


Thanks toEmi Tomita of museum stuff

Thanks toSumie Sakurai of museum stuff

Thanks toReiko Hotta of museum stuff

Repro photo by Rei Hashimoto

Thanks toARTGAIA stuff

Thanks toTAKAHASHI's FAMILY

Thanks tofujikyu


No 2 zoom

No 3 title

2006-2007 JAPANESE GRAFFITI series
"AGMK × JAPANESE GRAFFITI"

ジャパニーズグラフィティシリーズ 2006-2007
AGMK × ジャパニーズグラフィティ

No 4 STORY

“ストーリー”

不安や古い風習に今にも押し潰されて身動きが取れなくなってしまいそうな日本
流れ込む強大な西洋文化の影響は、良きも悪きも日本を次々と破壊していく
そのままでは押しつぶされ、変わろうと思えば壊れてしまう
沢山のもの、考え、人でゴチャマゼ
そんな複雑な環境の中で「現在」は常に積み重ねられていく
未来は何処へ向かうのか
先行きの不安や様々な思いで出来ていた2007年「今の日本」
ただ、その混沌は、世界の何処よりも「平和」と感じる

No 5 explain

“解説”

日本の象徴として「昇龍」が寄り添う「富士山(*1)」が描かれています。
麓には「河口湖」を含む「富士五湖」も描かれています。

その日本の象徴「*1富士山」にのしかかって来ているのは「九十九神(*2)」達が行う「百鬼夜行(*3)」。 「九十九神(*2)」や「百鬼夜行(*3)」は、古典同様に人々の不安や、古い日本の風習や文化の象徴として表現されています。 特に、日本の妖怪が沢山登場する「九十九神(*2)」は、日本の風習や文化を表現するモチーフとして採用しました。 「長い間物を大切に扱う」「何事にも礼節を怠らない」といったような日本的な考え方がその中に含まれていると考えたものです。 妖怪化するということは、長い間大切にされていたものに対して、礼節を欠いたということです。 それが大量に発生してのしかかってくるのは、日本の文化が歪んできた証拠と考えたのです。

「富士山(*1)」の左手には同盟国のアメリカが、そんな日本を救いに大いなる正義と愛を持って「巨大ロボ」を投入、街を踏み壊し、愛の弾丸で「百鬼夜行(*3)」を粉砕していきます。 F1のようにスポンサー名をボディに刻み込んだ「巨大ロボ」は、アメリカから派遣されている設定で西洋文化の象徴として、描かれています。 巨大な理由は、日本への影響力と関係性を表現したものです。

描かれた絵は大きく、上から過去、そして下には未来が描かれています。 途中、階段ホールの壁が3つに分割されているのを利用して、3つの未来を描いてみました。

入口方向へ向かういちばん大きな下段の壁面は、にぎやかで密度のいちばん濃い、良いことも悪いことも全て取り込んでしまい現在よりゴチャマゼ度が増大した「全ての調和」の未来。

急速に狭まるいちばん短い中段の壁は、「骸骨」が沢山描かれた全ての失敗、「絶望の死」の未来。

細いが長い壁面上段、階段の縁部分は、樹木が家になって動物達と共に暮らす木の国日本「自然と科学の融合」の未来。

「自然と科学の融合」は、現在からの科学力では不可能と思われるかもしれません。 でも、壁をよく見ると上段は壁がもう一段階分かれていることが分かります。 その5cmに満たない細い目立たない所に「◯ラゴンボール」が描かれています。 「日本を木の街にしてくれ!」との願いが「自然と科学の融合」を可能にしたというオチです。

*1 富士山 ふじさん Mt. Fuji
日本の「一」なる富士山。 禅(仏教)では「富士」のことを「不二」とかくことがある。 「不二」とは「一」でもなく「二」でもない状態のこと。 自我を「一」とすると、「一」に満たない状態とは、自我の認識が生まれるまえの「無心」。 「一」が「二」となる状態とは、人で例えると母から子が生まれるということ。 胎児がへその緒で母胎と繋がっていて、まだ自我がない状態と、母と同体の「一」を過ぎた間の状態のこと。 要は「悟り」と呼ばれる状態のことを表している。

*2 九十九神 つくもがみ
九十九神の表記は、ジャパニーズグラフィティ上の造語。正式には「付喪神」もしくは「九十九髪」と表記される。 「付喪神(つくもがみ)」とは、長い年月を経て古くなった対象(その多くは何らかの道具や器物であることが多いが、稀に動物などの生物も含まれるとされる)に、魂や精霊などが宿るなどして妖怪化したものの総称。 「付喪」自体は当て字で、正しくは「九十九」と書く。この「九十九」は「長い時間や経験」「多種多様な万物」などを象徴する。 「九十九髪」と表記される場合もあるが、「髪」は「白髪」に通じ、同様に長い時間経過や経験を意味し、「多種多様な万物が長い時間や経験を経て神に至る物(者)」のような意味を表すとされる。

*3 百鬼夜行 ひゃっきやぎょう・ひゃっきやこう
「百鬼夜行」とは、説話などに登場する深夜の町を集団(この場合の「百」も「九十九」同等の意味を持つ)で徘徊する鬼や妖怪の群れ及びその行進のこと。 「百鬼夜行絵巻」は、巻物に夜「妖怪」や「付喪神」達が大行進する様子が描かれていている物。 巻物右端から始まり、中盤では大騒ぎ、左端では約束事のように日の出と共に去っていく様子が描かれている。 読経することにより難を逃れた話や読経しているうちに「日の出(*4)」が昇ったところで鬼たちが逃げたり、いなくなったりする話が一般的で「仏の功徳」を説く話である。

今回の壁画の中では、古い書見から拾うものだけでなく「ファミコン」や「そろばん」「ビデオテープ」等を、現在の「九十九神」として描いた。

*4 日の出 ひので
鳥山石燕著『今昔画図続百鬼』の最後や多くの「百鬼夜行絵巻」の最後を飾るのが「日の出」である。 「夫妖は徳に勝ずといへり。百期の闇夜に横行するは、佞人の闇主に媚びて時めくが如し。太陽のぼりて万物を照せば、君子の時を得、明君の代にあへるがごとし」引用 「今昔図画続百鬼 明」 「日の出」により多くの妖怪たちは退散するという。 「百鬼夜行絵巻」の最後に描かれている赤い火の玉は「尊勝陀羅尼の吹いた火」であるともいわれている。これは「付喪神絵巻」の延長上に「百鬼夜行絵巻」があるという考えからきているものである。 また絵巻の最後が火の玉がない、もしくは火の玉ののちに黒雲によって終わっているものもある。 妖怪たちが恐れ逃げているのは日の出ではなく、より力のある「何者」かなのかもしれない。

壁画作品には、「日の出」は、描かれていない。 代わりに壁画完成記念ポスターに、富士山から上がる「日の出」と共に去っていく「百鬼夜行」の妖怪達が描かれている。 「百鬼夜行絵巻」としてはポスターの絵柄と合わせることにより完結する仕掛けになっている。 ポスターを横にすると、日本の国旗と同じ寸法になっており、この「日の出」は「日本」を表している。 富士山の麓、河口湖に描かれたこの作品は、より良き、より力のある「日本」をという「願」がかけられていると読み解くことが出来る。

No 6 SMALL STORY

“その他にも、小さな30のストーリー !!”

水泳小僧
泳げない小僧が、壁面を横断する道路の横でビート板を持って練習している。道路を辿っていくと、少しずつ泳げるようになり、最後にはオリンピック選手に成長するまでの努力を観ることができる。

忍者
至る所にいる忍者。進行の方向へ放射状に追いつめていけば、逃げる姫とじいやを見つけることができる。

スパイシープ
木に見せかけて諜報活動をする羊。黒鳥に情報を託して本部に送っている。事件の影には必ずいる。逆に言えば、スパイシープのいる所には事件があるのだ!

ペガコーン
ペガサスとユニコーンのハーフ。

熊三匹
何処でも何時でも楽しい熊のぬいぐるみトリオ。

ミヒャエル
大きな顔でいつも物陰からこちらを見つめている。

おばけ
高橋の身代わり。絵の中で、高橋信雅はおばけになる。

骸骨
死の匂いの感じない骸骨は日本人にしか描けない。

◯ラゴンボール
7個集めると世界の形を変えることの出来るボール。実際この絵では、一つの未来を支えている。

踊る女性
テンションを上げて!

菌類
イエローファイブから、定着したキャラクター菌類。ここでは2世代目が誕生中。

デモ隊
「巨大ロボ」の足下でデモ隊と交戦中。彼らには訴えたいことがある!

エロ
人間に必要な要素の一つ。前作品より、一手進む。ポスターでは2手進む。

コノハナサクヤヒメ
日本神話に登場する女神。火中出産の説話から火の神とされ、火山である富士山に祀られるようになった。

七本杉
河口浅間神社、県文化財指定されている七本杉。そこにずっとあったものではなく、移植されたものということ。なので、歩いて移動している姿を「富士山」の麓に描いた。

目玉
壁面に各所に登場する「目玉」。これは、レベルの高い2流の多い国日本を象徴しているもので、「目は沢山あるのに芽が出ない」という意味。ちなみに完成記念で制作したポスターでは、この目から「芽が出ています」。

風神雷神
大好きなブルーハーツのヒロトとマーシーに。

阿吽
阿吽は仏教の呪文(真言)の1つ。悉曇文字(梵字)に於いて、阿は口を開いて最初に出す音、吽は口を閉じて出す最後の音であり、そこから、それぞれを宇宙の始まりと終わりを表す言葉とされている。

万里の長城
中国との長い溝。

工場
日本の力強き源。

高速道路
壁面を無双さに横断する高速道路の上では、様々なことが起こっている。

ツインタワー
「巨大ロボ」の陰に隠れて建っている。「巨大ロボ」の肩越しに描かれていて、一見、背負っているようにも見える。

ゆうれい研究所
「ゆうれい」を研究してはや20年。現段階では「ゆうれい」を発生させることに成功している。

狂った街
壁面上部では「百鬼夜行」の影響で人もビルもみんな狂っている。

小人中人大人
絵の中に登場する人の大きさは様々。巨人から小人まで、人間と括ってはみたものの人種の違いや考え方、はたまた大きさだって違う生き物なんだ。

こびとナンバ-100
階段のエントランス付近に生息する帽子に1~100までを付けた小人。

ボード10
英数字「1」から「10」までの番号ボードを持った小さな人。探してください。

ボード十
漢数字「一」から「十」までの番号ボードを持った小さな人。探してください。

小人の日
2006年「子供の日」に描いた、小人が5月5日は「小人の日にしよう!」とガリバーを縛ってデモをしている図。

農鳥(のうとり)
河口湖から眺める富士山中央(標高2,600mから2,700m)に春先、雪溶けの過程で白く残った形が鳥の形をしていることからこう呼ばれ、富士吉田市や富士河口湖町の人たちは昔から農鳥の現れる時期によってその年の天候や吉凶を占ったもの。
壁画の「農鳥」は、2007年6月16日朝、実際に出現した「農鳥」を眺めながら描きました。

No 7 Credit

Client: ART GAIA
Art: Nobumasa Takahashi
Photo: Nobumasa Takahashi / Staff / M.Terashi (ArtGaia)
Repro photo: Rei Hashimoto
Labor of repro design: Hironori Inoue (NN)
Special Thanks: Reiko Hotta / Sumie Sakurai / Emi Tomita / Family / All visitors
Super Thanks: KAWAGUCHIKO KITAHARA MUSEUM and Teruhisa Kitahara

No 8 Report Photo