No 1 info

In 2023, at the request of GINZA RYOINKUMIAI, I created posters and stickers for "GINZA119," an advertisement to raise awareness of inbound tourism measures. This AD is available in English, Chinese (simplified), Chinese (traditional), and Korean to inform "you that need an ambulance and in the event of an fire in Japan, call 119".

2023年、銀座料理飲食業組合連合会からの依頼で、インバウンド対策の注意喚起の広告「GINZA119」ポスターとステッカーを制作しました。英語、中国語(簡体字)、中国語(繁体字)、韓国語で「日本で救急と火事の際は119に電話する」ということをお知らせするものです。

A2変形 POSTER SIZE: W420×H757mm PAPER: アラベールスノーホワイト130kg PRINT/COLOR: 4C SPECIAL PRINT: Foil Stamp “つや銀”

sticker SIZE: W95×H130mm PAPER: 銀テトロンタック+PP PRINT/COLOR: 4C+White1c


No 2 title

2023 AD " GINZA119 "
Poster & Sticker

2023年広告「銀座119」
ポスター&ステッカー

No 3 concept

“コンセプト”

日本を保守する広告

No 4 design

“デザイン要点”

「日の丸」を印象付けることで日本を強調している
一番目立つ文字をアーティストが描いている
色や印刷を細かく調節することで印象を大きく変えることができる

No 5 printing design

“印刷の仕掛け”

「グラフィック」は、最初に「日本」を意識してもらうため、日本の国旗「日の丸」をオマージュしました。「赤丸」の部分を「血(救急)」と「火(消防)」の形に変えて表現しています。色は、印刷的には版がずれないように金赤[M100Y100]で設定したいところですが、「日の丸」の指定色「紅色」を意識させるためにイエロー(黄色)を5%削り[M100Y95]で設定しました。

「AMBULANCE AND FIRE」は、最初に目がいくようにオリジナルフォントを制作し大きく配置しました。オリジナルフォントが目立つようにそれ以外には定番のフォントを使用しています。色は、キートーン(黒一色)[K100]で設定しました。重なりあう「血」と「火」の[M100Y95]部分と使用している印刷版が違うため、お互いの形がぼやけずにはっきりと認識できるという仕掛けです。

「CALL 119」は、街でよく見かける定番フォント「アーヘン*5」を使用しました。その中でももっとも特徴が現れた「ボールド」を使用しました。その他の定番フォントよりは目立ち、「グラフィック」「AMBULANCE AND FIRE」の次に目に入るようにデザインしています。「CALL」部分の色は、四色黒[C40M100Y40K100]で設定しました。四色黒にすることで「AMBULANCE AND FIRE」の[K100]と差別化を図っています。また、マゼンタ(赤色)部分を[M100]に設定することで「東京消防庁」「京橋消防署」部分[C100M40Y40K100]との区別化を図っています。「119」部分の色は、金赤[M100Y100]で設定しました。「血」と「火」[M100Y95]との差別化を図っています。マゼンタ(赤色)を強くすることで「危機感」をイメージさせ、色彩心理学のパブリックイメージである「熱さ」「強さ」「興奮」などを印象付けることができます。

「後援」「東京消防庁」「京橋消防署」「Tokyo Fire Department」「Kyobashi Fire Station」部分には、公共サイン(電車の駅名標や道路標識など)では定番のフォント「スーラ*6」を使用しています。色は、四色黒[C100M40Y40K100]で設定しました。四色黒にすることで「AMBULANCE AND FIRE」の[K100]と差別化を図っています。また、シアン(青色)部分を[C100]に設定することで「CALL」部分[C40M100Y40K100]との区別化を図っています。シアン(青色)を強くすることで「水」をイメージさせ、色彩心理学のパブリックイメージである「信頼」「誠実」「知性」などを印象付けることができます。

「GINZA」にも、街でよく見かける定番フォント「アーヘン*5」の「ボールド」を使用しました。この部分は箔押し加工で「つや銀」にすることで銀座の表現と高級感を演出すると同時に、明度が極端に下がるため、同じフォントを使用している「CALL 119」よりも目立たないようにする効果があります。

ポスターは、丈を少し短くした変形オリジナルサイズです。特別感を演出すると同時に、定型サイズの中に飾られると違和感により際立つという仕掛けです。紙は、「アラベールスノーホワイト」を採用しました。繊細な風合いで優しい手触りをもつ非塗工印刷用紙で、高い印刷適性と発色性を保ちながら、柔らかい風合いを失わず、ナチュラルで気品のある印刷表現を可能にする紙です。

ステッカーも、変形オリジナルサイズです。電車の優先席付近に貼られている「ヘルプマーク(120×90mm)」より一回り大きく製作しました。定型サイズの他シールと混ざらずに効果的に作用する仕掛けです。素材は、長期使用にも耐えられるように「銀テトロンタック+PP加工」を採用しました。塩PETにアルミ蒸着させたフィルムで屋外使用にも適した素材です。印刷は、ポスター同様「オフセット印刷*4」を採用しました。「オンデマンド印刷*4」とは違い、しっかりとした印刷版の振り分けができている場合、インクが混ざり合わないため、広告の認知性が上がります。小ロットに適した「オンデマンド印刷」よりも4倍ほどのコストになりましたが「注意喚起」の広告なので効果を優先させました。ポスターと違う部分は「GINZA」と「血」と「火」部分をヌキ型にしているところです。素材のアルミ部分が露出することでキラリと光る仕掛けです。グラフィックとして「GINZA」部分が銀色に光るのはもちろん、「血」と「火」部分が光ることで、認知性が上がる仕掛けです。ポスターより小さくても注意喚起の能力を保てるようにしたデザイン設計です。その仕掛けを引き立たせるために、白色は透けないように「二度刷り」しました。

No 6 Annotation

“註釈”

*1 銀座料理飲食業組合連合会
1947年(昭和22年)に発足。銀座やその隣接地域の「飲・食」に関わる多種多様の店で構成されている飲食組合です。

*2 CMYK
Cyan(シアン)、Magenta(マゼンタ)、Yellow(イエロー)、Key plate(キープレート)の頭文字をとって表したものです。CMYは「色の3原色」とも呼ばれ、混ぜれば混ぜるほど理論上暗い色へと変化していくため『減法混合・減法混色』と呼ばれています。Kは黒色ですが、由来は「Key Plate(キーとなる版)」もしくは「Key Tone(キーとなる色調)」というものからきているようです。通常の印刷物はこの四色で印刷されているため「印刷四原色」または「プロセスカラー」とも呼ばれています。

*3 RGB
Red(赤)、Green(緑)、Blue(青)の三つの原色を混ぜて幅広い色を再現する加法混合の一種。「光の3原色」とも呼ばれ、混ぜ合わせれば混ぜ合わせるほど明るい色へと変化していくため『加法混合・加法混色』とも呼ばれます。ブラウン管・液晶ディスプレイ・プラズマディスプレイなど、コンピュータやテレビの映像表示に使われています。

*4 オフセット印刷/オンデマンド印刷
オフセット印刷とは、2023年現在、主流として用いられている印刷方式のひとつです。写真や色などの再現性に優れ、品質が重視される印刷物を大量に印刷する場合に適しています。実際に印刷イメージが作られている版と紙が直接触れないのが特徴で、版に付けられたインキを一度ゴムブランケットなどの中間転写体に転写(オフ)した後、紙などの被印刷体に印刷(セット)することからオフセット印刷と呼ばれています。インクが紙にしっかりと密着して写真や文字などを細部まで鮮明に表現できるので、安定した品質で大量に印刷することができます。オフセット印刷の大半が平版(へいはん)を用いて行われているため、オフセットと言えば平版オフセット印刷のことを指すようになっています。カラーでの印刷はC・M・Y・Kの4色刷りで印刷するのが一般的ですが、オフセット印刷機は4色刷りでは再現できない特色(金や銀、蛍光、透明など)も使用できる上、通常印刷にプラスして印刷することもできます。オフセット印刷機の中には6色対応のものもあるので、印刷工数を増やさず特色を使った印刷も可能です。簡単に印刷物の表現を拡げることができるのです。

【オフセット印刷の主なメリット】
写真や文字などを細部まで鮮明に表現できる
大きいサイズの印刷が可能
大量印刷に対応し印刷費用が抑えられる
印刷物の色表現を安易に広げることができる

【オフセット印刷の主なデメリット】
納期が必要
製版費用が必要になる
ナンバリングなどの多種小部数の印刷に向かない
小部数だと割高になる

オンデマンド印刷とは、版の製作が不要な電子写真方式やインクジェット方式など高速デジタル印刷機が登場し現実のものとなった「要求があり次第(オンデマンド)」に迅速に印刷する注文印刷のことです。本来は印刷技法を指す用語ではなく印刷のあり方をしめす用語であって、オフセット印刷であってもごく短納期・少部数であれば、オンデマンド印刷と称することもあります。少数印刷に適している一方、枚数が多くなるとコストがどんどん高くなってしまうのが難点です。 また、トナーは液体インクに比べて粒子が大きいため、精細度の面でやや劣る傾向にあります。 耐久性においても、摩擦や折りによる剥離または割れが生じやすいので、仕上がりの美しさを長期間キープするのには不向きです。上下左右に2㎜ほどのズレが生じやすいため、精密なデザインを再現することにはむいていません。 また細かい文字はにじんでしまう可能性もあります。

【オンデマンド印刷の主なメリット】
納期が早い、スピード対応可能
小部数、少量印刷に向いている
必要な分印刷できるため在庫コストがかからない
内容の変更に素早く対応できる

【オンデマンド印刷の主なデメリット】
精細度の面でやや劣る
精密なデザインを再現することにはむいていない
耐久性がない
枚数が増えると割高になる

*5 Aachen Bold
街でよく見かける定番フォント「アーヘン」。
レトラセット社で活躍する名デザイナー、コリン・ブリグナルの代表作のひとつで「C」「G」 「S」などカーブを途中でカットしたデザインが特徴。 非常に安定感があり、とりわけスラブセリフの中でも群を抜く美しさ。 もっとも特徴が現れたボールドが人気。アーヘンといえば、建築家ミース・ファン・デル・ローエ (Ludwig Mies van der Rohe) の生まれ故郷であり、「泉」を意味するようである。

*6 Seurat DB
スーラは、フォントワークスが発売した丸ゴシック体である。1990年にMacintosh用DTPフォントとしてリリース。フランスの画家、ジョルジュ・スーラにちなんで名付けられた。
スーラは、「ナール*7」とも共通するコンセプトを持つ書体。デザイン上の完成度はもとより、ファミリーの充実・ATM・外字への対応、後の組替え用仮名書体のリリースなどといったフォント製品としてのサポート体制からもグラフィックデザイナーやエディトリアルデザイナーの間で評価の高い書体のひとつとなった。高い視認性から、「ナール*7」と同様にグラフィックのみならず、プロダクトデザインなどでの使用例も多い。かつてApple ComputerのMacintoshコンピュータ・iBookシリーズ・MacBook Proおよび同社キーボード単体製品において、キートップの刻印に採用された実績が挙げられる。

*7 NAR
ナールは、写研が1972年に発売した丸ゴシック体である。
デザイナー中村征宏が1970年、写研主催の「第1回石井賞創作タイプフェイスコンテスト」応募作「細丸ゴシック」として発表し、同コンテストで1位となった書体である。中村は看板業、テレビの字幕・タイトルロゴ用テロップカード制作、広告レイアウトなどの仕事に携わった経歴を持つデザイナーで、もともと中村にとって丸ゴシック体はスポットニュースにおけるヘッドライン表示用テロップカードの指定書体として書き慣れたものだった「お」「た」「む」などのユニークな字形はテレビのテロップを書くときのクセからきていると発言している。書体は「中村」の 「ナ」と、「ラウンド」の頭文字「R」を組み合わせた「ナール」と名付けられ、1972年、写研から手動写植機用文字盤が発売された。
ナールは、文字が正方形の字面全体を占めるフトコロの広い丸ゴシックで、フトコロの締まった書体が常識だった丸ゴシック体の既成概念を破る明るい書体として業界に衝撃を与えた。従来の書体について、当時の広告版下製作で一般的に行われていた字間調整(字詰め)のための切り貼りにわずらわしさを感じていた中村は、コンテスト応募時の「設計意図」において、字面を大きく使うことで字間のバランスを生み、結果として工程を短縮できると述べ、コピーやサブタイトル用に適しているとの考えを示した。
ナールは、広告や雑誌、新聞などの見出しなどに使うディスプレイ書体として多用され、ポスターや広告のキャッチフレーズ、テレビの字幕、道路標識などに幅広く使われた。

No 7 Credit

主催: 銀座料理飲食業組合連合会
後援: 東京消防庁/京橋消防署
支援: 中央区
文字/デザイン: 高橋信雅

Client: GINZA RYOINKUMIAI
Cooperation: Tokyo Fire Department/Kyobashi Fire Station
Support: Chuo City
Typography/Design: Nobumasa Takahashi